はじめに

住まいは、本来それぞれの地域の風土に深くかかわりながら、長い時間の中でつくられた文化の"かたち"です。
一方、現代生活におけるさまざまな変化に即した「新しい住まいの"かたち"」をも求めなければなりません。
「明日の新しい住まい」をめざす時、技術的な向上はもちろんのこと、環境問題に対する視野をひろげる努力を積極的に行っていく必要があります。
無垢杢工房は、「地球に根ざす家づくり」を通して地域循環型社会に貢献する工務店の組織です。
その基本的な考えは、産地の明らかな素材で、設計者、工務店、大工、職人の顔が見える、安全で良質木の家づくりの実現です。
私たちの取り組みは、地球に根ざした住文化の新たな創造です。
木材
木材は再生可能な天然資源です。
栃木県は、県土の55%が杉・桧を中心とした森林で占めています。
気候的には積雪量が少なく、気候・降雨の適度な地域であり、風水害なども少ないことから高い品質の木材が豊富にあります。
無垢杢工房で使用する木材は、目に見える仕上材から、目に見えない下地材に至るまで、風土に適した県産材を使用し、ベニヤなどの合板素材は一切使用しません。
それが「木の家づくり」の本来の姿であり、また、自然なことです。
さらに、製材所であることから、丸太市場から直接仕入れることができ、丸太から製材することで自由な加工が可能であること、生産者の皆さんから近いこと、質の良い材料が丸太で手に入ることなど、地産地消にも環境を考えた家づくりをしています。
左官

日本の壁は高度経済成長期以降、簡単・早い・安いという理由で、ビニールクロスが主流になりました。
しかし、施工時に使われる接着剤が含む有害化学物質や、廃棄時の問題が大きくなり近年改めて壁が見直されています。
栃木県佐野市葛生地区は、漆喰の主原料となる石灰岩、伝統的左官外壁の掻き落し仕上げの主原料となる苦灰石の生産地です。
無垢杢工房では、風合いの美しさのみならず、耐火性、吸放湿性、吸着性、防カビ性などを兼ね備え、役目を終えた後は土に還る漆喰、掻き落し仕上げなどを内外壁に使用しています。
大谷石